タロカリを始めてから、私には新しくママができた。

(あと、お父さんもできたし、弟たちもできた)

 

オープンして間もないある真夜中に、

真っ黒のファーがついたロングコートを着て、真っ黒のロングブーツを履いて、

真っ黒の長い髪の毛の大人な女性が綺麗な傘を持ってふらりとタロカリにやってきた。

 

魔女かと思った。

 

コーヒーを飲んで帰られたあと、

「さっきの人、魔女かな?」てカウンターにいた田島さんと話した。

 

それから5年、

ほぼ毎日、閉店時間ギリギリの真夜中にコーヒーを飲みに来てくれたその方は、

大名でスナックのママをしていて、お仕事終わりにタロカリで一服して帰っていくのでした。

 

ママの日常の中にタロカリがあって、私の日常にもママがいて。

私の事も、タロカリのお客さんの事もすごく可愛がってくれて、

たくさんの事を教えてくれて、つまずいた時は相談する前に助言をくれた。

 

夜のコーヒー屋を閉めるときも、

泣くのは最後と決めてた最後の最後、ママが明け方にやってきてお疲れ様って言ってくれた時に一緒に大泣きした。

 

先日25周年を迎えたママのお店。

「来月でお店を閉めようと思う」って連絡が来た。

たった5年半のお店を閉めるのにあんだけ迷って考えてようやく覚悟決めたのに、

ママ、よく決断したなと思って急いでママのお店に向かったら、

気丈にいつもの調子でお話をしてくれて、泣いてるのは私だけだったけど、

さよならする時に抱きついて泣かれた。

ママのラスト見に来てねって。

 

これまではお迎えする側だったから、ママのお店に行くことはなかったけど、

可愛がってもらったタロカリーズを引き連れて明日はじめてお客さんとしてママのお店に行くのです。

寂しいのがウソみたいに、賑やかに歌って笑って騒いで帰ろう。

 

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